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店舗リノベーションについて2026.01.31

店舗リノベーション完全解説

――「空間づくり」ではなく「事業を再構築する行為」


1. 店舗リノベーションとは何か(まず定義を壊す)

1-1. リフォームとの決定的な違い

多くの人が混同しますが、
店舗リノベーションと店舗リフォームは別物です。

  • 店舗リフォーム
    • 古くなった部分を直す
    • 壊れた設備を交換する
    • 見た目を綺麗にする
    • マイナスをゼロに戻す行為
  • 店舗リノベーション
    • 業態を再設計する
    • 顧客体験を作り直す
    • 売上構造そのものを変える
    • ゼロからプラスを生む行為

つまり店舗リノベーションは
**「内装工事」ではなく「経営行為」**です。

ここを勘違いすると、
いくらお金をかけても“儲からない店”が出来上がります。


1-2. なぜ今、店舗リノベーションなのか

背景は3つあります。

  1. 消費行動の変化
    • モノより体験
    • 安さより理由
    • SNSで語れるかどうか
  2. 立地神話の崩壊
    • 駅前=成功ではない
    • 駅前でも潰れる
    • 住宅地でも流行る
  3. 業態寿命の短縮
    • 飲食:3〜5年
    • 小売:5〜7年
    • 美容:競争激化

だから
「今の店を直す」ではなく
「これから生き残る店に作り替える」必要がある


2. 店舗リノベーションの全体プロセス(地獄はここから)

店舗リノベーションは以下の流れで進みます。

  1. 事業コンセプト設計
  2. 物件条件整理
  3. 基本レイアウト計画
  4. 予算設計
  5. 実施設計
  6. 法規チェック
  7. 見積・業者選定
  8. 工事
  9. 引き渡し・開業
  10. 運営・検証・改善

ほとんどの失敗は
1〜4で決まります


3. コンセプト設計(ここが9割)

3-1. コンセプトとは何か

コンセプトは
「誰に」「何を」「なぜ」提供するか
一文で言える状態。

悪い例:

  • 「落ち着いた雰囲気のカフェ」
  • 「おしゃれな美容室」

良い例:

  • 「30代共働き夫婦が、平日夜に“仕事モードを切り替える”ためのカフェ」
  • 「育児中でも“自分を取り戻す60分”を提供する美容室」

内装はコンセプトの翻訳装置です。


3-2. コンセプトが曖昧だと何が起きるか

  • デザイナーの好みが出る
  • オーナーの気分でブレる
  • 施工後に「なんか違う」
  • 集客に繋がらない
  • 改装地獄に陥る

つまり
コンセプト不在=金ドブ


4. 物件条件と既存状態の読み解き

4-1. スケルトンか居抜きか

スケルトン

  • 自由度:高い
  • 初期費用:高い
  • 工期:長い
  • 法規対応:必要多

居抜き

  • コスト:抑えやすい
  • 工期:短い
  • 制約:多い
  • 業態が縛られる

「居抜き=安い」は半分嘘です。
設備の寿命・不適合が後で爆発します。


4-2. 見落とされがちな物件チェック項目

  • 電気容量(飲食は致命的)
  • 給排水経路
  • ダクトルート
  • 天井高
  • 梁の位置
  • 防水層の有無

特に
ダクトと電気を軽視すると詰みます。


5. レイアウト設計(動線=売上)

5-1. 店舗動線の基本原則

  • スタッフ動線は短く
  • お客様動線は“迷わせず、滞留させる”
  • 視線の先に「売りたいもの」

レイアウトは
心理学 × 物流です。


5-2. 席数を増やす=売上ではない

飲食店あるある:

席数増やしました → 回らない → クレーム → 売上下がる

大切なのは

  • 回転率
  • 滞在時間
  • 単価

数字で考えないレイアウトは事故る


6. デザイン設計(オシャレ病に注意)

6-1. デザインは目的ではない

内装デザインの目的は

  • 写真映え?
  • 居心地?
  • 回転率?
  • 高級感?
  • 安心感?

これを決めずに
「かっこよくしてください」は地雷です。


6-2. トレンドに寄り過ぎる危険

  • 流行素材
  • 流行色
  • 流行照明

2〜3年で古くなります。

ベースは普遍、ポイントで流行
これが生き残る設計。


7. 法規・行政(ここで止まる店は多い)

7-1. 関係する主な法規

  • 建築基準法
  • 消防法
  • 保健所条例
  • 風営法(業態による)
  • バリアフリー条例

知らないと
オープンできません


7-2. 特に注意すべき消防

  • 内装制限
  • 防災管理者
  • 誘導灯
  • 消火器
  • 排煙

「あとで付ければいい」は通りません。


8. 予算設計(ここが現実)

8-1. 店舗リノベーション費用相場

あくまで目安:

  • 軽微改装:10〜20万円/坪
  • 標準:30〜50万円/坪
  • 高級:60〜100万円/坪

飲食は設備で跳ね上がります。


8-2. 予算配分の考え方

失敗例:

  • 内装8割
  • 設備2割

成功例:

  • 設備5割
  • 内装3割
  • 余白2割

見えない所に金を使え


9. 業者選定(人で決まる)

9-1. 設計施工分離 or 一式?

  • 分離:透明性・管理力必要
  • 一式:楽・ブラックボックス

初心者は
店舗専門の一式業者+第三者チェックが無難。


9-2. 見積で見るべきポイント

  • 一式表記が多すぎないか
  • 仕様が曖昧でないか
  • 数量の根拠があるか

「安い」は理由を疑え。


10. 工事中に起きるリアル

10-1. 変更は必ず起きる

  • 想定外の配管
  • 構造体の干渉
  • 法規の追加指示

予備費は10〜20%必須


10-2. 現場に行かないオーナーは損する

  • 納まりの微調整
  • 使い勝手の確認
  • スタッフ目線の気づき

図面では分からないことだらけ。


11. 開業後が本番

11-1. 「完成=成功」ではない

オープン後に見るべきは

  • 客導線
  • スタッフ負荷
  • 匂い
  • 温度

使ってみて分かる不具合が必ず出ます。


11-2. 改善前提で設計する

  • 造作固定を減らす
  • 可動家具
  • 余白のある配線

「変えられる設計」が強い。


12. 店舗リノベーションの本質

最後に一番大事なことを書きます。

店舗リノベーションは
夢を形にする作業ではありません

それは
現実と戦うための装備を整える行為です。

  • 誰のための店か
  • なぜ存在するのか
  • どう生き残るのか

それを
空間という形で“嘘なく表現する”

だからこそ
甘い言葉より、
厳しい設計が必要になります。

13. 店舗リノベーションは「空間」ではなく「構造」を作る

多くの人はこう考えます。

良いデザイン

人が来る

売れる

これは半分ウソ

実際はこうです。

事業構造

オペレーション

体験

空間デザイン

売上

つまり
構造を設計せずに空間だけ作ると、必ず破綻します。


14. 「売れる店」と「続く店」は違う

14-1. 売れるけど潰れる店の特徴

  • オープン直後は行列
  • SNS映え
  • 内装に金をかけすぎ
  • 人に依存した運営
  • 修繕できない構造

2〜3年で終わります。


14-2. 続く店の共通点

  • 内装が“主張しすぎない”
  • 修繕前提で作られている
  • スタッフが辞めにくい
  • 売上の天井を理解している
  • 小さく調整できる

リノベーションは「持続性」を作る作業です。


15. 業態別・リノベーションの致命点

15-1. 飲食店リノベーションの闇

最大の敵:設備

  • 給排水は一生変えられない
  • 電気容量は後から増えない
  • ダクトは天井裏戦争

厨房8割・客席2割
これが正解になることも多い。

事故パターン

  • 見た目優先 → 厨房狭すぎ
  • 席数優先 → 動線崩壊
  • 家庭用機器流用 → 即故障

15-2. 美容室・サロンの落とし穴

  • セット面間隔が狭すぎ
  • シャンプー動線が悪い
  • 配管位置ミス
  • 鏡・照明の質が低い

美容系は
**「デザインより疲れない」**が最重要。

スタッフが辞めたら終わり。


15-3. 物販・小売の致命傷

  • 在庫動線がない
  • バックヤード軽視
  • レジ位置が悪い
  • 試着・体験が弱い

物販は
空間=接客装置

「置くだけ」は売れない。


16. 数字で見る店舗リノベーション

16-1. 売上分解式

基本式:

売上 = 客数 × 客単価

客数はさらに分かれます。

客数 = 通行量 × 入店率 × 回転率

ここに
リノベーションが効くポイントがあります。

  • ファサード → 入店率
  • 動線 → 回転率
  • 空間体験 → 客単価

つまり
内装は数字に直結する


16-2. 坪効率という残酷な指標

坪効率 = 月商 ÷ 坪数

これを知らない店は死にます。

例:

  • 月商300万
  • 30坪
    → 坪10万(危険)

業態ごとの最低ラインを
事前に知っておく必要がある


17. リノベーションで「絶対に削ってはいけない」部分

17-1. 電気・給排水・空調

  • 見えない
  • 写真に映らない
  • でも死活問題

ここを削ると
毎月ストレスが積み上がる


17-2. 下地・防水・床

  • 床鳴り
  • 水漏れ
  • 匂い
  • クレーム

「とりあえず」で作った床は
必ず後悔する。


18. 逆に削っていいところ

  • 過剰な造作
  • 飾り棚
  • 特注家具
  • デザイン照明の数

余白はコスト削減ではなく“未来投資”


19. 居抜きリノベーションの真実

19-1. 居抜きが向いているケース

  • 同業態
  • 同規模
  • 同ターゲット

これが揃えば強い。


19-2. 居抜き地獄パターン

  • 前の店の失敗を継承
  • 設備寿命不明
  • 法規不適合の可能性
  • 隠蔽された欠陥

居抜き=爆弾処理だと思え。


20. デザイナー・設計者との付き合い方(超重要)

20-1. 良い設計者の特徴

  • 売上の話をする
  • 工事費を気にする
  • 代替案を出す
  • 嫌なことも言う

20-2. 危険な設計者

  • 「世界観」しか言わない
  • トレンド連発
  • 工事を知らない
  • 現場に来ない

優しい人ほど危険な場合がある


21. 施主が言ってはいけない言葉集(実録)

  • 「予算は考えず、まず案を」
  • 「SNSで見たやつ全部入れて」
  • 「あとで何とかなるでしょ」
  • 「前の店もこうだったから」
  • 「オシャレにしてください」

これ、全部事故ワードです。


22. リノベーション後に必ず起きる問題

22-1. 開業後3ヶ月の壁

  • 動線のズレ
  • 音・匂い問題
  • スタッフ不満
  • 想定外のオペ負荷

ここで改修できる店だけが生き残る


22-2. 1年後に来る現実

  • 設備トラブル
  • 客層のズレ
  • 売上の頭打ち

「変えられる余地」がないと詰む。


23. 再リノベーション(やり直し)の思想

成功店ほど
小改修を繰り返す

  • 家具入替
  • 照明調整
  • レイアウト変更

一発完成を狙う店ほど短命


24. 店舗リノベーションの最終結論

最後に、
かなり厳しいことを言います。

店舗リノベーションは
夢を形にする場ではありません

それは

  • 経営判断の連続
  • 妥協と覚悟
  • 現実との殴り合い

でも逆に言えば、

ちゃんと考え抜いた空間は
あなたの代わりに働き続ける社員になります。

  • 喋らない
  • 辞めない
  • 文句言わない
  • 24時間印象を与える

これが
良い店舗リノベーションの正体です。

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