マンションリノベーションの基礎知識について2026.01.14
マンションリノベーション完全ガイド
― 基礎から実践、失敗しないための知識まで ―
1. マンションリノベーションとは何か
1-1. リフォームとの違い
一般に「リフォーム」は、老朽化した部分を元の状態、あるいはそれに近い状態へ回復させることを指します。たとえば、古くなった壁紙を張り替える、壊れた設備を新しいものに交換する、といった比較的部分的・修繕的な工事が中心です。
一方「リノベーション」は、住まいの性能・価値・使い方そのものを向上させる改修を意味します。単なる修繕に留まらず、間取りの変更、配管・配線の刷新、断熱・防音性能の向上、デザインコンセプトの再構築など、住まい全体を再設計する点が大きな特徴です。
マンションリノベーションは、「今ある住戸を、自分たちのライフスタイルに最適化した空間へ再構築する行為」と言えます。
1-2. なぜマンションリノベーションが注目されているのか
近年、マンションリノベーションが注目されている背景には、以下のような社会的要因があります。
- 新築マンション価格の高騰
都市部を中心に新築価格が上昇し、立地や広さを妥協せざるを得ないケースが増えています。 - 中古マンション市場の拡大
良質な中古物件を購入し、自分好みに改修する選択肢が現実的かつ合理的になっています。 - ライフスタイルの多様化
在宅ワーク、二拠点生活、趣味重視など、画一的な間取りでは対応しにくい暮らし方が増えています。 - サステナビリティ意識の向上
既存ストックを活かすことは、環境負荷を抑える行為でもあります。
2. マンション特有の構造と制約
2-1. 専有部分と共用部分
マンションには、法律・管理規約上の区分があります。
- 専有部分
原則として室内空間。内装、設備、間仕切り壁など。 - 共用部分
外壁、床スラブ、梁、柱、配管の一部、窓・玄関ドアなど。
リノベーションでは、専有部分しか自由に工事できないという大前提があります。たとえば、窓の交換やバルコニーの改修は、たとえ自室に面していても共用部分に該当する場合が多く、原則不可または制限付きとなります。
2-2. 構造形式(ラーメン構造と壁式構造)
マンションの構造は、リノベーションの自由度を大きく左右します。
- ラーメン構造
柱と梁で建物を支える構造。室内の壁は非構造壁が多く、間取り変更の自由度が高い。 - 壁式構造
壁そのものが建物を支える構造。撤去できない壁が多く、間取り変更に制限がある。
物件選びの段階で構造を確認しておくことは、後悔しないリノベーションの重要なポイントです。
3. マンションリノベーションの種類
3-1. 部分リノベーション
水回りのみ、LDKのみといった限定的な改修です。
メリット
- 費用を抑えやすい
- 工期が短い
- 住みながら工事できる場合もある
デメリット
- 全体の統一感が出にくい
- 根本的な間取り改善は難しい
3-2. フルリノベーション
内装をすべて解体し、スケルトン状態から再構築する方法です。
メリット
- 間取り・配管・配線を一新できる
- デザイン・性能を根本から再設計できる
- 築年数の古さを感じにくい
デメリット
- 費用が高くなりがち
- 工期が長い
- 仮住まいが必要な場合が多い
4. リノベーション計画の立て方
4-1. ライフスタイルの整理
成功するマンションリノベーションの出発点は、「自分たちがどう暮らしたいか」を言語化することです。
- 在宅ワークはどれくらいするか
- 来客は多いか
- 子どもの成長や独立をどう考えるか
- 収納量はどれくらい必要か
- 何を大切にした空間にしたいか(開放感、静けさ、素材感など)
これらを整理することで、設計の方向性が明確になります。
4-2. 予算計画
マンションリノベーションの費用は大きく以下に分けられます。
- 設計・デザイン費
- 工事費(解体・大工・設備・内装など)
- 設備・建材費
- 管理組合申請・諸費用
- 仮住まい費・引越し費
- 予備費(全体の10%程度が目安)
「理想」だけでなく、「現実的な総予算」から逆算する視点が不可欠です。
5. 設計・デザインの考え方
5-1. 間取り設計
マンションリノベーションでは、限られた面積を最大限活かす工夫が重要です。
- 廊下を最小限にして居住空間を広げる
- LDKを一体化して視覚的な広さを出す
- 可変性のある間仕切りを採用する
- 収納を「点」ではなく「面」で考える
5-2. デザインテイスト
代表的なテイストとしては以下があります。
- ナチュラル
- 北欧
- インダストリアル
- モダン
- 和モダン
- ホテルライク
重要なのは、見た目だけでなく、素材の耐久性・メンテナンス性まで含めて選ぶことです。
6. 工事の流れ
6-1. 事前準備
- 管理組合への申請・承認
- 近隣住戸への挨拶
- 工事スケジュールの確定
6-2. 解体工事
既存内装を撤去し、スケルトン状態にします。ここで初めて分かる不具合(配管劣化など)が見つかることもあります。
6-3. 下地・設備工事
- 配管・配線の更新
- 断熱・防音対策
- 床・壁・天井の下地施工
6-4. 仕上げ工事
- 内装仕上げ
- 設備機器の設置
- 建具・照明・造作家具の施工
7. マンションリノベーションにかかる費用相場
7-1. 目安
- 部分リノベーション:300万〜700万円
- フルリノベーション:800万〜1500万円以上
※面積、地域、仕様により大きく変動します。
7-2. 費用を左右する要素
- 面積
- 間取り変更の有無
- 水回りの移動距離
- 素材・設備のグレード
- 造作家具の量
8. 法規制・管理規約の注意点
8-1. 管理規約の確認
マンションごとに、工事可能時間、床材の遮音等級、配管工事の条件などが細かく定められています。
8-2. 遮音等級(LL・LH)
特に床材は、遮音等級を満たさないと施工できません。デザイン優先で選ぶと、後から変更を求められるケースもあります。
9. よくある失敗とその回避策
9-1. 収納不足
→ 生活動線と所有物を具体的に想定し、造作収納を計画する。
9-2. コンセント不足
→ 家具配置と使用機器を事前にリストアップする。
9-3. 予算オーバー
→ 優先順位を明確にし、「削る部分」を決めておく。
10. マンションリノベーションと資産価値
10-1. 資産価値が上がるケース
- 立地が良い
- 管理状態が良好
- 普遍的な間取り・デザイン
- 設備更新が適切
10-2. 下がる可能性があるケース
- 個性が強すぎるデザイン
- 将来的に使いにくい間取り
- 管理規約違反の工事
11. これからのマンションリノベーション
今後は以下の視点がより重要になると考えられます。
- 省エネ・断熱性能
- 可変性のある間取り
- 長寿命・メンテナンス性
- 中古市場での再流通を見据えた設計
12. まとめ
マンションリノベーションは、単なる「改装」ではなく、暮らし方を再定義するプロジェクトです。制約があるからこそ、計画性・設計力・施工品質が重要になり、成功すれば新築以上に満足度の高い住まいを手に入れることができます。
大切なのは、
- 正しい知識を持つこと
- 自分たちの価値観を明確にすること
- 信頼できるパートナーと進めること
この3点です。
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