店舗リノベーションについて2026.09.26
店舗リノベーションとは?費用・工事内容・デザイン・進め方を徹底解説
店舗リノベーションとは、既存の店舗やテナントの建物・内装・設備などを活かしながら、店舗の用途、デザイン、機能、動線、設備などを大きく改善する工事です。
単純に壁紙や床を張り替える「店舗リフォーム」と比べて、店舗リノベーションでは間取り変更、設備更新、給排水・電気・空調工事、厨房設備、照明、外観、看板などまで含めて店舗全体をつくり直すケースが多くあります。
特に飲食店、美容室、サロン、物販店、クリニック、事務所、ホテルなどでは、店舗のコンセプトや業態に合わせて空間そのものを再構築することで、使いやすさだけでなく、店舗のブランドイメージや集客力にも影響します。
1.店舗リノベーションと店舗リフォームの違い
「店舗リフォーム」と「店舗リノベーション」は似た言葉ですが、一般的には工事の規模や目的に違いがあります。
店舗リフォーム
店舗リフォームは、既存の状態を大きく変えずに、劣化した部分や使いにくい部分を改善する工事です。
例えば、
- クロス張替え
- 床張替え
- 天井張替え
- 塗装
- トイレ交換
- 照明交換
- エアコン交換
- 建具交換
- 外壁塗装
- 看板交換
などがあります。
店舗を営業しながら部分的に改修したい場合にも向いています。
店舗リノベーション
一方、店舗リノベーションでは、既存の店舗を一度大きく解体し、間取りや設備、内装、デザインなどを再構築します。
例えば、
- 間取り変更
- 厨房の新設
- 給排水配管の変更
- 電気容量の増設
- 分電盤交換
- 空調設備の変更
- 換気設備の新設
- トイレの増設
- 防火設備の改修
- 照明計画
- 造作家具
- カウンター
- 店舗ファサード
- 看板
- 外装
- 内装デザイン
などをまとめて施工します。
つまり、「古い店舗を新しい店舗として生まれ変わらせる」ことが店舗リノベーションの大きな特徴です。
2.店舗リノベーションを行うメリット
店舗リノベーションには、単純な修繕以上のメリットがあります。
店舗のイメージを一新できる
店舗は、お客様が入店した瞬間に感じる印象が非常に重要です。
外観、入口、照明、床、壁、天井、家具、カウンターなどを統一することで、店舗のコンセプトを明確にできます。
例えば飲食店なら、
- 高級感
- 和風
- ナチュラル
- モダン
- レトロ
- インダストリアル
- カフェ風
- 大衆的
など、ターゲットに合わせたデザインをつくることができます。
3.店舗の動線を改善できる
店舗リノベーションでは、デザインだけでなく「人の動き」を考えることが重要です。
飲食店であれば、
入口 → 客席 → 厨房 → 配膳 → 下膳 → 洗い場 → 厨房
という動線を考えます。
スタッフの動線が長すぎると、営業中の負担が増えます。
逆に厨房から客席までの距離を短くすると、配膳や下膳がしやすくなります。
美容室であれば、
受付 → 待合 → カウンセリング → シャンプー → カット → 会計
などの流れを考える必要があります。
店舗リノベーションでは、単に「見た目がおしゃれ」だけではなく、営業しやすい店舗をつくることが重要です。
4.店舗リノベーションで重要なゾーニング
店舗設計では「ゾーニング」が重要です。
ゾーニングとは、店舗内を用途ごとに分けて配置する考え方です。
例えば飲食店の場合、
- 客席
- 厨房
- レジ
- トイレ
- 手洗い
- 倉庫
- スタッフスペース
- ゴミ置場
などに分けます。
さらに客席についても、
- カウンター席
- テーブル席
- 個室
- ボックス席
などに分類できます。
限られた店舗面積の中で、どのスペースにどれだけ面積を割くかが重要です。
5.店舗リノベーションの内装工事
店舗リノベーションでは、内装工事が大きな割合を占めます。
代表的な工事には、
壁
- 石膏ボード
- クロス
- 塗装
- タイル
- 左官仕上げ
- モールテックス
- 木材
- 化粧板
などがあります。
床
- 長尺シート
- フロアタイル
- 塩ビタイル
- タイル
- フローリング
- モルタル
- モールテックス
などがあります。
店舗では住宅よりも耐久性や清掃性が求められるため、デザインだけでなく、使用頻度やメンテナンス性を考えて材料を選ぶことが大切です。
6.店舗の天井工事
天井は店舗の雰囲気を大きく左右します。
一般的な天井には、
- クロス仕上げ
- 塗装仕上げ
- ジプトーン
- 化粧吸音板
- 木ルーバー
- スケルトン天井
などがあります。
最近では、天井をすべて仕上げず、既存の躯体や設備配管を見せる「スケルトン天井」もあります。
インダストリアルな店舗やカフェなどでは、ダクトや配管、照明器具を見せることで独特の雰囲気をつくれます。
ただし、スケルトン天井では、
- 配管
- 電線
- ダクト
- 消防設備
- エアコン
- 照明
などが露出するため、単純に天井材を撤去すれば完成するものではありません。
露出する設備そのものをデザインとして整理する必要があります。
7.店舗照明の計画
店舗リノベーションでは照明計画も非常に重要です。
同じ内装でも照明によって店舗の印象は大きく変わります。
例えば、
飲食店
暖色系の照明を使うことで、落ち着いた雰囲気をつくれます。
美容室
鏡周辺の照明では、顔色や髪色が自然に見えることが重要です。
アパレル
商品をきれいに見せるため、照明の位置や光の当たり方を考えます。
照明器具だけでなく、
- 色温度
- 明るさ
- 配光
- スポットライト
- ダウンライト
- 間接照明
- ペンダントライト
- ライン照明
などを組み合わせて計画します。
8.飲食店の店舗リノベーション
飲食店は店舗リノベーションの中でも特に設備工事が多い業態です。
必要になることが多い設備は、
- 厨房
- シンク
- 手洗い
- 食洗機
- 給湯器
- 給排水
- グリストラップ
- 換気扇
- 排気ダクト
- エアコン
- ガス設備
- 電気設備
- 冷蔵庫
- 冷凍庫
- 厨房機器
などです。
厨房では、見た目だけでなく作業効率と衛生管理が重要です。
また、飲食店の場合は食品衛生関係の施設基準と消防関係の設備基準との調整が必要になる場合があります。(厚生労働省)
そのため、工事を始める前に保健所や消防署などへ確認しておくことが重要です。
9.美容室・サロンのリノベーション
美容室やサロンでは、一般的な店舗内装とは異なる設備計画が必要です。
美容室では、
- セット面
- ミラー
- シャンプー台
- 給排水
- 給湯
- 待合
- 受付
- バックヤード
- タオル収納
- 洗濯機
などを考えます。
特にシャンプー台は給水・給湯・排水が必要になるため、既存配管の位置によってレイアウトや工事費が変わることがあります。
10.店舗の電気工事
店舗リノベーションでは、電気容量の確認も重要です。
特に飲食店では、
- IH
- 食洗機
- 電子レンジ
- 冷蔵庫
- 冷凍庫
- エアコン
- 給湯器
- 照明
- 厨房機器
など、多くの電気を使用します。
既存店舗の電気容量では不足する場合、電気幹線や分電盤などの改修が必要になる場合があります。
そのため、内装デザインを決める前に設備容量を確認することが重要です。
11.給排水設備
店舗リノベーションでは給排水工事も重要です。
特に飲食店の場合、
- 厨房シンク
- 手洗い
- 食洗機
- 給湯器
- トイレ
- 洗面
- グリストラップ
など、多くの場所で給排水を使用します。
既存の給排水管をそのまま使用できる場合もありますが、レイアウト変更によって配管を移設するケースもあります。
排水は勾配が必要になるため、厨房やトイレを移動するときには、床下の高さや既存配管の位置を確認することが重要です。
12.空調・換気設備
店舗では空調だけでなく換気計画も重要です。
例えば飲食店では、
厨房排気 → 排気ダクト → 屋外
という流れをつくります。
厨房の排気量が大きい場合、給気についても検討する必要があります。
また、客席側についても、
- エアコン容量
- 室内機位置
- 室外機位置
- 換気扇
- 給気
- 排気
- ダクト経路
などを計画します。
空調設備を後から変更すると、天井や壁を再度解体することになる場合があるため、できるだけ初期段階で計画します。
13.店舗の防火・消防設備
店舗リノベーションでは、デザインだけでなく防火・避難関係も重要です。
店舗の用途や規模、建物の構造・階数などによって、必要な設備や規制が変わります。
例えば、
- 消火器
- 自動火災報知設備
- 誘導灯
- 非常照明
- 避難器具
- 防火戸
- 防火区画
- 内装制限
などが関係する場合があります。
国土交通省の店舗用途に関する資料でも、建築基準法だけでなく、食品衛生法や消防法などを計画段階から確認することが示されています。(国土交通省)
特に既存店舗を別の用途へ変更する場合は注意が必要です。
14.店舗用途変更にも注意
例えば、
事務所 → 飲食店
住宅 → 店舗
物販店 → 飲食店
などに変更する場合があります。
用途変更では、建築基準法、消防法、各自治体の条例などを確認する必要があります。
国土交通省も、既存建築物を店舗・飲食店・宿泊施設などへ用途変更して活用するケースについて、既存建築物の法適合状況を確認する重要性を示しています。(国土交通省)
そのため、契約後ではなく、物件を借りる前・購入する前に専門家へ確認することが重要です。
15.店舗リノベーションの費用
店舗リノベーションの費用は、店舗の種類や面積、既存状態、設備内容、デザイン、使用する材料などによって大きく変わります。
特に費用に影響するのが、
- スケルトンか居抜きか
- 店舗面積
- 厨房の有無
- 水回りの数
- 電気容量
- 空調設備
- 換気設備
- 給排水設備
- 防火設備
- 造作家具
- 使用材料
- デザイン性
- 看板
- 外装工事
などです。
同じ20坪の店舗でも、カフェと焼肉店では必要な設備が大きく異なります。
16.居抜き物件とスケルトン物件
店舗リノベーションでは、物件の状態が工事費を左右します。
居抜き物件
以前の店舗の内装や設備が残っている物件です。
メリットは、既存設備を利用できれば工事費を抑えられることです。
一方で、
- 古い設備
- 配管の劣化
- 電気容量不足
- 空調能力不足
- レイアウトが合わない
などの問題が隠れている場合があります。
スケルトン物件
内装や設備をほとんど撤去した状態の物件です。
自由なレイアウトをつくりやすい反面、
- 厨房
- 給排水
- 電気
- 空調
- 換気
- 内装
- 照明
などを新しく施工する必要があります。
17.店舗リノベーションの流れ
一般的には以下のような流れで進めます。
STEP1 店舗のコンセプトを決める
まず、
「どんな店舗にするのか」
を決めます。
例えば、
- 高級店
- カジュアル店
- ファミリー向け
- 若者向け
- 女性向け
- 地域密着型
などです。
STEP2 現地調査
既存店舗の、
- 寸法
- 天井高さ
- 電気
- 給排水
- ガス
- 空調
- 換気
- 防火設備
- 既存内装
などを確認します。
STEP3 レイアウト作成
客席、厨房、トイレ、バックヤードなどの配置を決めます。
STEP4 デザイン設計
床、壁、天井、照明、家具、カウンター、建具などを決めます。
STEP5 見積
設計内容をもとに工事費を算出します。
STEP6 契約
工事内容、金額、工期、支払い条件などを確認します。
STEP7 着工
解体工事からスタートします。
STEP8 設備・内装工事
電気、給排水、空調、換気、軽量下地、ボード、床、壁、天井などを施工します。
STEP9 仕上げ
照明、家具、建具、厨房機器、看板などを設置します。
STEP10 検査・引き渡し
設備や内装を確認し、必要な検査・手続きを行ったうえで引き渡します。
18.店舗リノベーションで失敗しやすいポイント
デザインを先に決めすぎる
おしゃれなデザインだけを先に決めると、後から設備工事との調整が必要になることがあります。
店舗では、
デザイン+設備+法規
を同時に考えることが重要です。
予算を内装だけで考える
「内装工事1000万円」と考えていても、
- 設計費
- 厨房機器
- 空調
- 換気
- 電気
- 給排水
- 看板
- 家具
- 消防設備
- 諸申請
などが別途になる場合があります。
そのため、店舗開業に必要な総額で予算を考えることが重要です。
19.店舗リノベーションでは「見えない部分」が重要
完成した店舗を見ると、床や壁、照明などの仕上げが目立ちます。
しかし、店舗の性能を左右するのは、壁や天井の内部に隠れている設備でもあります。
例えば、
- 給水管
- 排水管
- 電気配線
- 換気ダクト
- 空調配管
- ガス配管
- 防火設備
- 下地
などです。
これらを適切に計画しておかないと、完成後に設備トラブルが発生する可能性があります。
20.店舗リノベーションで重要なのは「営業できる状態」まで考えること
店舗工事では、単純に内装を完成させれば終わりではありません。
実際に営業を開始できる状態まで考える必要があります。
例えば飲食店なら、
内装完成 → 厨房機器設置 → 電気・ガス・給排水確認 → 保健所関係 → 消防関係 → 営業準備
というように、多くの工程があります。
そのため、店舗リノベーションでは工事業者だけでなく、必要に応じて設計者、設備業者、消防設備業者、行政窓口などと連携することが重要です。
21.店舗リノベーションは「デザイン+機能+コスト」のバランス
店舗リノベーションで重要なのは、単純に高価な材料を使うことではありません。
重要なのは、
デザイン性
機能性
耐久性
メンテナンス性
安全性
予算
のバランスです。
例えば、高級感を出したいからといって、すべて天然石や無垢材にすると工事費が大きく上がる場合があります。
一方で、適切な塩ビタイル、化粧板、メラミン、塗装、タイルなどを組み合わせれば、予算を抑えながら高級感を演出することもできます。
22.店舗リノベーションで業者を選ぶポイント
施工会社を選ぶ場合は、価格だけで比較するのではなく、店舗工事の実績を見ることが重要です。
特に、
- 飲食店の実績
- 美容室の実績
- 店舗リノベーションの実績
- 設備工事の対応力
- 消防関係の対応
- 保健所関係の経験
- 設計対応
- 現場管理
- アフターメンテナンス
などを確認します。
店舗工事は住宅リフォームとは違い、営業許可、消防設備、厨房、電気、給排水、換気などが複雑に絡むケースがあるため、店舗工事の経験が豊富な会社に相談すると計画を進めやすくなります。
23.店舗リノベーションは物件選びから始まる
意外と重要なのが「工事前の物件選び」です。
同じ面積の店舗でも、
- 天井高さ
- 間口
- 給排水位置
- 電気容量
- ガス容量
- ダクト経路
- 排気場所
- 階数
- エレベーター
- 搬入口
- 防火区画
などによって工事費が大きく変わります。
そのため、店舗を契約する前に施工会社や設計者に現地を見てもらう方法も有効です。
24.店舗リノベーションの成功ポイント
店舗リノベーションを成功させるためには、以下のポイントが重要です。
① 店舗コンセプトを明確にする
誰をターゲットにする店舗なのかを決めます。
② 動線を重視する
スタッフとお客様の動きを分けて考えます。
③ 設備を早い段階で決める
電気・給排水・空調・換気などは後から変更すると費用が増えやすくなります。
④ 法規を確認する
建築基準法、消防法、食品衛生関係など、店舗用途に応じて事前確認します。
⑤ 予算に余裕を持つ
既存店舗を解体して初めて分かる問題もあるため、予備費を確保しておくことが重要です。
⑥ デザインとメンテナンスを両立する
見た目だけでなく、清掃・修繕・交換のしやすさまで考えます。
25.まとめ
店舗リノベーションは、古くなった内装をきれいにするだけの工事ではありません。
店舗のコンセプト、レイアウト、動線、内装、照明、電気、給排水、空調、換気、厨房、消防設備などを総合的に見直し、営業しやすい店舗へつくり直す工事です。
特に店舗では、住宅以上に設備工事や法規制との関係が重要になります。
国土交通省も店舗について、建築基準法上の内装制限や防火・避難関係だけでなく、食品衛生法や消防法など複数の規定を確認する必要があると案内しています。(国土交通省)
そのため、店舗リノベーションを計画する場合は、
「おしゃれな店舗をつくる」だけではなく、「安全に営業でき、スタッフが働きやすく、お客様が快適に過ごせる店舗をつくる」
という視点が重要です。
物件の状態、店舗の業態、面積、予算、必要設備を総合的に確認し、設計・施工・設備・消防などを早い段階から連携させることで、完成後の追加工事や予算オーバーを抑えやすくなります。
店舗リノベーションは、単なる内装工事ではなく、店舗そのものの価値と営業効率を高めるための総合的な改修工事と考えることができます。
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